遡ること出発の数日前、ワタクシは憂鬱かつ不快な日々を過ごしていた。 それもこれもあれも何もかも、来る1月25日に会社の新年会があることが原因である。 会は特段の事由でもない限り原則全員出席。 今年の会場は京都では有名な料亭旅館“京大和”、¥15000相当のコース料理がタダで(正確にはオレらが稼いだ利益で)食え、酒も飲み放題。 例年なら¥5000くらいの予算の店やから、誰でも嬉々として出席するであろう。 しかし、ワタクシは出席したくなかった。 何故か?、、、それは全員参加の写真撮影があるから。 事は更に去年へと遡る。 それは1年前の新年会でのこと。 ここ数年行なわれていなかった集合写真撮影を今年は行なう、という情報を得たワタクシは、 「写真が終わってから参加するから」と1人に伝言し、会場近くの本屋で本漁りをしていた。 すると電話がかかってきたのである。 「全員で撮るから、○○が来〜へんと会も何も始まらへんねん」と。 ワタクシはゴネた、ではなく、理論整然と反論した。 この会は業務外である(仕事ではないから出席する義務はない)こと、写真を撮られることを嫌悪し忌避していること、 全員で写真を撮ることに理由も意味もない(全社員の一致団結など、今までもこれからも何しても出来るわけない)ことを。 そして結局は写った。 「こんなん卑怯やわ」と吐きすて、彼ら全員と自身に対する怒りから顔を真っ赤に高潮させ、レンズを睨みつけながら。 そして月日は流れ、来る新年会の数日前。 昼休憩中いつものように戯れ言を交わしながらメシを食っていたところ、新年会の話題に話が向いた。 ワタクシは言った、「今年も写真撮るんやろ?なら当然欠席。前日と当日は仕事を休み、携帯電話の電源も切っておく。」と。 すると話し相手はこう言った、「それだけやと来いって言われるって。どうせなら旅行にでも行ったら?」 つまりこういうわけである。 新年会がある日、その日は前々から予定していた旅行に行く日であり、既に宿も取っておりキャンセルするには金もかかる。 なので、残念ながら欠席せざるを得ない。 まさに名案。 目から鱗とはこのことである。 ちょっとでも考えたら魂胆丸見えの行動やけども(勘付かれたところで気にするよなタマではないが)。 そして決めた。 「オレは海賊王になる!」じゃねーや、「そうだ、和歌山に行こう」と。 これが今回の徘徊に到るちょっとしたキッカケ。 何をするにもいつも理由はそんなもんで、ちょっとした思いつきに過ぎない、のである。 しかし、和歌山といっても特に行きたい場所はなく、温泉に入りたいわけでもクエや鮪や鯨を食いたいわけでもない。 ならば何をする、何処へ行く、、、いや、1つだけある。 したいこと、行きたい場所が。 それは夜景を見ること、夜景を見れる場所に行くこと。 ならばそれを目的にすればいい。 とりあえず宿だけは決めといて、あとは気の向くだけ夜景を見て、撮りたくろうではないか。 既に気分は上々、憂鬱や不快な日々を過ごしていたのは過去のこと。 愉快である、楽しみである。 迎えて1月24日。 新年会の、そして徘徊の前日。 仕事を終えたワタクシは旅支度を整え、早めに床へと就いた。 そして早々と目を覚まし、バイクに跨り街を駆け出した、、、真冬の凍えるような寒さの中、夜中23時半に。 いやね、夜のほうが道空いてるでしょ。 あと、事前にリストアップした夜景すぽっと候補地があまりにも多くなり過ぎまして。 なら夜が明けるまでに何ヶ所か行けばいいじゃん、てなわけでありまして。 欲張りだからね、貪欲だからね〜ワタクシ。
夜景を見ることが出来ないということは目的の消失を意味する、、、つまり、することがない! 夜以外のこと、日中何をするかについて計画するのをすっかり失念していた。 どうする、どうすんのよオレ?! と、いつかCMで見たオダギリジョーさんよろしくうろたえるワタクシではない。 すぐそばに山があるではないか、、、夜景を見るためにリストアップしていた山が。 それに登ればいいのである。 夜景は見れへんけども、次来る時の下見として。 ということで標高755mの別名紀州富士、龍門山へのアタック開始である。
しかもこの雪。 スニーカーに滲みこむわ、滑るわで気を遣うし体力も消耗する。 山頂はまだか、、、爺はもう疲れた、、、ん?貼紙がありますな〜。 ナニナニ、、、スズメバチに注意、、、冬やから関係なし! おぉぅ、眼前に広場らしき場所が見えてきました。 事前の情報ではパラパラ場から20分かかるってあったけど、15分もかかってないじゃん。 ふっふっふっ、さすがオレ。 膝の軟骨の磨り減り具合は60代、オマケにぎっくりもちの足腰をなめんな、である。 コルセットと膝サポーター様々である、はい。 てなわけで、山頂到着。 視界は直下の草木が邪魔でパラパラ場より悪いものの、まぁそこそこの景色。 それにしても、誰もいない場所というのは静かでイイものです。 やはり、山登りは朝か夜に限りますな〜。
時間は昼の12時前。 まだまだ夜景はんとの時間までは猶予あり。 しかしながら、その時間を活かす術はノープラン。 「どうすんのよ、オレ?!」 劇団ひとりさんも同じCMに出てたよな気がする〜、、、である。 中編へ続く、である。 中編へ |